【京都の和菓子】旧暦の重陽を菊のお菓子で
京都の花街・祇園の一角にある「鍵善良房」店主の今西善也さん。季節感に富んだお菓子を作り続ける江戸享保年間創業の老舗「鍵善良房」の当代が、豊かな四季の移ろいや、日本の美を映しだす愛らしいお菓子にまつわるお話を毎月お届けします。
着せ綿・菊寿糖・光琳菊。
菊スイーツで彩る、
新暦&旧暦の菊の節句
重陽の節句は菊の節句ともいわれます。古来数字の奇数は陽の数字であり、その一番大きな数字である9が二つ重なる9月9日の節句は大変めでたい日とされています。宮中では観菊の宴が催され、菊の花を浮かべた酒が飲まれていたようです。菊の花は邪気を払い、その露は不老長寿の薬になるという、古代中国からの言い伝えがもとになっています。
「鍵善」ではこなし(白濾し餡〈あん〉に小麦を混ぜたものをベースにして蒸し、砂糖などで甘みをつけた主菓子の生地)で菊の花を作り、裏ごしした餡で綿を表します。この「着せ綿」は9月の茶席などではよく使われるお菓子。
菊の花に綿をのせて露を集め、その綿で身を拭うという「着せ綿」と呼ばれる儀式も無病息災や子孫繁栄、不老長寿を祈願して行われていたようです。菓子屋が重陽の節句に作る「着せ綿」というお菓子はそのような風習から生まれたものです。
ただ残念なことに、日本の暦がいまのものになってからは、季節と暦上の行事に少しズレが生じてしまいました。(本稿の配信日の9月20日より)10日ほど前が新暦9月での重陽でしたが、菊の花はまだ早く、菊の節句という実感がわきにくいころ……。とはいえ、せっかくの五節句のひとつですから、設えやお菓子の「菊」で「季節のズレ」を補い、健康と長寿を願いたいものです。
一方で、もっと本格的に、という方は、旧暦で「菊の節句」を楽しんでいただくのがいいのかもしれません。旧暦の重陽は新暦の10月の中ごろ[*1]にあたり、まさに菊の季節。菊花の候というのにふさわしい時季ですから。
昔は和三盆糖だけの打ものは珍しく、評判を呼び、「鍵善」を代表するお菓子に。元治元 (1864)年に作られたとされる木型で作る「菊寿糖」。
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新暦であれ旧暦であれ、節句の気分を盛り上げるお菓子のひとつに、菊の花をかたどった和三盆の打ちもの[*2]の「菊寿糖」があります。「鍵善」の店頭では、菊の花の露を飲んで不老不死になったお話に登場する、「菊慈童(きくじどう)」を描いた掛け紙を巻いた「菊寿糖」をご用意しています。四国の徳島で作られる上質な和三盆を、職人が手で彫った細やかな木型で打ち出す、「鍵善」を代表する一品。口に入れると、すっと溶け、上品な甘みが広がり、お抹茶や煎茶といったお茶はもとより、中国茶や紅茶、コーヒーと、どんな飲み物とも相性のよい干菓子です。
いつもは生成りのものだけなのですが、重陽を迎えるころは季節に合わせ、4色の「彩り」という特別な「菊寿糖」を作っています。現代では菊はちょっとお堅い花といった印象もありますが、可愛らしいお菓子の「菊」と一緒に、もう少し日常的に「菊」を楽しんでほしいものです。
「鍵善」のスタンダードな「琳派菊」は、山芋をすりおろしたものを生地に使う薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)がベース。薯蕷饅頭の白い生地に、緑に染めた生地を張り付けて菊の葉を表し、真ん中を窪ませ、丸と中心を、焼印で入れます。
菊の花のお菓子は、ほかにもいくつもありますが、京都らしいのは「光琳菊」を模したお菓子でしょう。光琳菊というのは、その名のとおり尾形光琳という江戸時代の絵師が描いた菊のことをいいます。その光琳さんを祖とする日本美術の流派である「琳派」は、絵画や工芸だけでなく京都のお菓子のデザインにも大きく影響を与えています。
この時季、京都の菓子屋には「光琳菊」と名のつくお菓子が並びます。丸に点一つであらわす大胆なデザインの、光琳さんが描いた菊をそれぞれの菓子屋がどのようにお菓子で表現しているかを見るのもおもしろいもの。
「鍵善」では、焼き物の織部焼に見立てた“織部”を表す緑をあしらった上用饅頭(じょうよまんじゅう)に、焼印で丸と点を入れたものが多いです。しかし、年によって“織部”の緑を無くしたり、焼印の入れ方を変えたりと、気持ちの流れに沿ってお菓子のデザインもアレンジしています。
自分で納得のいくお菓子を創り出すのはなかなか難しく、奥が深いものです。
[*1]旧暦の重陽である9月9日は、2021年は新暦の10月14日。
[*2]【打もの】木型に詰めて押し固めるお菓子。上級品を打もの、ほかを落雁とする呼び方もある。
小さな美術館「ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM」が開館!
祇園の「ZEN CAFE」の向かいに、2021年1月8日にオープン。
館長は、当連載の執筆者の「鍵善良房」代表取締役社長の今西善也さんです。
「約300年この祇園町でお菓子屋をさせていただき、さまざまな人やモノとご縁を頂戴してきました。この町から授かった教えや恩恵、そしてこの町の人々が大事にしてきた思いを多くの方々に知っていただけたる場所になればと思っております」(今西さん)
開館記念特別展「山口 晃 ─ちこちこと小間ごと─」を開催中。
詳細はウェブサイト(下記ボタン)をご覧ください。
ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM 開催中 Current
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写真提供=鍵善良房
DATA
※新型コロナウイルス感染拡大防止の為、営業時間等を変更しています。
四条本店
営業時間/菓子販売/9時30分~18時
喫茶/ 10〜18時(L.O.17時45分)
定休日/月曜(祝祭日の場合は翌日)
tel.075-561-1818
京都府京都市東山区祇園町北側264番地
Google mapで確認
「ZEN CAFE」は特別営業時間で営業中 11時~17時30分(L.O.17時)
「高台寺店」は臨時休業中(再開は未定)となります。
※生菓子の発送も行っています。発送地域が限られますが、詳しくは公式ウェブサイト、もしくは電話にてお問い合わせください。
鍵善良房 公式ウェブサイト
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菊にまつわるお話
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